正午を過ぎたころ、僕は北のバレフィル村へとたどり着いた。
セイクフォース王国とは全く違い、のどかで自然が豊かな村だ。
こんな所もあったんだなと思いながらさっそくこの村の村長に
会いに行く事にした。
一方。王国では。
「聞いたか?聖騎士になりたてのアイツがさぁ・・・・・・」
「あ、そりゃルーフィンとかいうやつだろ?
聖騎士で一番強かったあの先輩のお気に入りだった・・・・・・」
王国所属の兵士達の詰所でとある二人の若者が会話していた。
それを見たカレン女王は立ち止まって聞き耳を立てた。
「なんでだろうな。アイツって一番若いだろ?
それに孤児で生まれも育ちも不明な怪しいやつなのにさ」
赤い眼をした男が女王に聞かれているとは知らずに話す。
それは息子のように可愛がっていたルーフィンの悪口だった。
「そうそう。それにアイツのせいでさ、先輩が死んじまっただろ?
あの先輩曰く、ルーフィンは特別な力をもってるとかさぁ」
茶色の眼の小柄な男がそれにノッテ話す。
ルーフィンはあんまり同年代の兵士と仲が良くなかった。
ルーフィンをかばって死んでしまった彼らの先輩である
一人の聖騎士カーストに気に入られていた。
そのカーストが一番腕前が良かった為にくやしんでいたのだろうか。
どんな理由でも息子のようなルーフィンの悪口には違いない。
「でもさ、アイツって聖なる力を秘めてんだろ?しかもさ、
タダもんじゃない。魔物の欲しがるようなぐらいの」
村長との会話を終え、僕は宿に泊まっていた。
どうやら魔物はまだ村の付近には現れていないらしい。
だからこそ、警備。なのだが体がもう疲れきっている。
それに暑い。全然涼しくない。
「外に出てこようかな。風に当たろう」
そう独り言をつぶやいた僕は外へ出てみた。
村から少し離れた薬草園。
そこに人影が見えたので僕は気になって近寄ってみた。
後ろから見て僕と同じ年代の少女のようだった。
「こんなに遅く何をしてるんですか?」
優しく声をかけたつもりが驚かせたようで
急激に身を翻した。
「誰よ・・・・・・一体どうしてここへ?」
「僕はルーフィン。ルーフィン・セイクフォース。
王国の聖騎士で魔物の調査でこの村へ来たんだ。
魔物が現れるかもしれないから早く家に戻って欲しいんだけど」
「嫌よ。ルーフィン君」
少女はきっぱりと答えた。僕の言葉を遮って。
「私は薬を作る材料を集めているの!
魔物なら出てこないわよ。ここはお祖母ちゃんの
呪文がかけられているから近づけないわ!」
あまりにもはきはきといわれて僕は何も言い返せなかった。
女の人はこういうタイプが多いのかと認識しそうになった。
「そう。ならいいよ。でも早めに戻って・・・・・・!!」
「ん?どうしたのよ。そんなに驚いた顔して・・・・・・なっ!!」
少女も気づいたようだった。
すぐそこに大型の魔物がいたのだ。
あの時の僕を襲った魔物と同じだった。
「どうしてなの・・・・・・呪文がかけられているのに
どうしてここまで来てるの・・・・・・?」
「分からないよ。下がって!!」
僕が敵うわけがない。あの時僕を襲ったあの魔物なのだ。
だけどこの少女を置いて逃げるわけには行かない。
村の者達を守る事が大事なんだ。そう言い聞かせ、
先輩の使っていた騎士剣をかまえ、切りかかった。
「堅い・・・・・・あんまり効かない!!」
皮膚は鉄の塊よりも堅く、剣は効かなかった。
このままじゃ危ないと思ったその時、
「どきなさいよ!・・・・・・フレイム!!」
少女が炎を放った。それは魔物に確実に効いていた。
「全く・・・・・・一緒に戦うわよ!!」
「あ、ありがとう。ええっと・・・・・・」
「レニー。レニー・ホワイトローズリィよ。こう見えても魔法が使えるわ」
「助かるよ。それじゃいくよ!レニー!!」
それは何分にも渡る壮絶な戦いだった。
僕の繰り出す騎士剣での攻撃、レニーが放つ炎の魔法。
そして僕の恨みの敵である魔物は大地に倒れこんだ。
「やったわ・・・・・・こんなの始めて」
「僕もだよ・・・・・・まだ生きてるね」
もうすぐ息絶えるだろう、そう思っていたのか
何もしようとはしなかった。
『人間を・・・・・・聖なる力をもつ者を・・・・・・
とらえ・・・・・・我ら魔物の・・・・・・頂点・・・・・・
魔族の力と・・・・・・なる・・・・・・聖なる力をもつ者よ・・・・・・
その力を・・・・・・封印されし・・・・・・我らの・・・・・・
頂点・・・・・・魔族へ・・・・・・捧げるのだ・・・・・・けして
・・・・・・聖地を蘇らせるな・・・・・・我ら魔族のみに・・・・・・
その力を使え・・・・・・女神など・・・・・・気にするな・・・・・・』
「何よ・・・・・・この魔物喋ったわ。しかも意味が分からない」
「聖なる力・・・・・・って魔族って・・・・・・」
分からない。この魔物は何かを僕らに伝えた。
そして息絶えた。
「聖なる力をもつ者って私はもたないわよ。何が言いたいのかしらね。
ルーフィン君もそう思わない?・・・・・・ルーフィン?」
僕は相当気分が悪くなった。
体の奥深く、胸の奥深く、精神の奥深い、全ての一番深き所、
体が痛んだ。息が苦しい。頭の中に何かがいる。
そのまま僕は大地に身を投げ出してしまった。
必死に体をゆすって僕を起こそうとする少女が横にいる。
後で分かった事だけれど、僕が生まれたときから
すでに僕はなすべき事が2つあった。それはどちらか1つだけ。
僕の見る不思議な夢、頭の中に突如現れたもの、
女神と魔族、2つのある願いが僕を痛める原因だったことを。